日本郵便(東京・大阪・佐賀)事件
郵便局採用の配達担当契約社員と正社員の格差が問題とされた事件で、東京・大阪・佐賀の3つの事件がありました。
これらの事件では、いろいろな手当や休暇が問題となりましたが、類型化してみると次のとおりです。基本的に待遇(手当や休暇)の趣旨を重視していますが、扶養手当と病気休暇については、長期継続勤務への期待という目的も勘案されていることに留意が必要です。
<年末年始勤務手当、祝日給>
東京高裁では年末年始勤務手当が契約社員に支払われないのは不合理であるとされ、大阪高裁では勤続5年を超える契約社員に支払われないのは不合理と判断が分かれていました。
これに対し最高裁では、年末年始勤務手当の趣旨(年末年始の最繁忙期に働く職員の労苦に報いる趣旨)から、契約社員に一切支払わないのは不合理としました。
また、年始期間の勤務に対する祝日給の差についても同様に不合理としました。
<夏期冬期休暇>
夏休み・冬休みのことですが、東京・大阪・佐賀の各高裁は、契約社員に対する格差は不合理としつつ、実際に同休暇を取得して賃金が支払われなかったのではないから損害が生じたとは言えないとしていました。
これに対し最高裁では、佐賀事件において、この休暇の性質は労働を離れさせ心身の回復を図る趣旨であり、この趣旨は契約社員にも当てはまると明示したうえで、東京・大阪・佐賀のいずれの事件についても、損害はあったとし、支払いを命じました。
<扶養手当>
手当類の中でも特に注目されていたのが、大阪事件で提起されていた扶養手当です。
大阪高裁では、扶養手当は長期雇用システムの下での生活費の増減に対応する目的のものであり、これは非正規職員には当てはまらないとされていました。
これに対し最高裁は、扶養手当には長期継続勤務の期待の目的があり、そうであれば非正規職員でも相応に継続勤務が見込まれる者には当てはまるとし、今回の事案の契約社員の場合は勤務が10年にも及ぶので支払わないのは不合理としました。
<病気休暇>
東京高裁では、正社員と短期間の契約社員とで取得日数が異なることは不合理とは言えないが、有給・無給の格差は不合理であるとされていました。
これに対し最高裁は、病気休暇についても扶養手当と同様に長期継続勤務の期待の目的があり、相応に継続勤務が見込まれるのであれば契約社員にもその趣旨は妥当するとした上で、今回の事案の契約社員の場合は勤務が10年にも及ぶので、取得日数に差をつけることはともかく、有給・無給の格差をつけるのは不合理としました。
まとめ
最高裁の直接の判断は以上のとおりです。
ただ、この他にも、今回上告不受理とすることにより、<基本給>や<住宅手当>その他の手当など高裁の判断で良いと認めたものがあります。また、先のハマキョウレックス事件・長澤運輸事件の2判決ですでに考え方が示されているものに、<皆勤手当><無事故手当><作業手当><給食手当><通勤手当>があります。結構いろいろ考え方が方向づけられたことになります。
来年4月には中小企業に対しても改正法が適用になることになりますが、以上の考え方を踏まえて、就業規則の見直し等に取り組む必要があります。
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さっと通信
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