前回まで、2回に分けて以上の労使協定方式による賃金の決定方法について述べてきましたが、これを踏まえて、派遣業務ごとの賃金テーブルを整備することになります。
基本的考え方
労使協定方式において求められる賃金の基本的な考え方を復習してみると、次の2つでした。
①派遣労働者の賃金を決定する際に一般労働者の平均的な賃金(「一般賃金」)以上にすること
②派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力等の向上がある場合には賃金が改善されるものであること
この考え方により賃金テーブルを整備することになりますが、自社に賃金テーブルが「ない」場合と「ある」場合によって対応が異なります。
自社に派遣社員向け賃金テーブルが「ない」場合は、賃金等級を設定し、各等級の職務の内容、基本給・手当・賞与を賃金テーブルとして整備していきます。
「ある」場合は、一般賃金と同等以上であるかどうかを点検し、同等以上であればいいのですが、一般賃金よりも低い場合には、見直しのうえ、必要な是正を加えます。
賃金についての点検
賃金についての点検にあたっては個々の派遣労働者の社内職種、業務の難易度等の等級、就業する地域、基本給、手当、賞与、通勤手当、退職金を記載できる「個人別賃金一覧表」(【参考9】)などを活用して、派遣労働者の賃金と一般賃金を比較し、一般賃金と同等以上であるかを点検します。
(A)基本給・賞与等
個々の派遣労働者の基本給・賞与等と一般基本給・賞与等を比較します。
(B)通勤手当
定額支給の場合は、個々の派遣労働者の通勤手当と一般通勤手当の額(令和2年度「72円」)を
比較します。実費支給の場合は比較する必要はありません。
(C)退職金
退職金制度の方法をとる場合は一般労働者の退職金制度と比較します。退職金前払いの方法、中小企業退職金共済制度等への加入の方法をとる場合は、退職金前払いの額や掛金額等を一般退職費用の割合(令和2年度「6%」)と比較します
昇給についての点検
派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、経験等の向上に対応して、職務に関連する賃金が改善されることが求められているので、基本給・賞与等が適切に改善されているかを点検します。
賃金改善の例としては、厚生労働省の『不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル』に次の<例1><例2><例3>が示されています。具体的な例示については、【参考10】に示しておきましたのでご覧ください。
<例1>職務内容等の向上があった場合に、追加の手当を支給
派遣労働者の勤務評価の結果、同じ職務の内容(Aランク、Bランク、Cランク)であっても、派遣
労働者の能力の向上等があった場合には、例えば基本給・手当額の1~3%の範囲で能力手当を支
給する。
<例2> 職務内容等の向上があった場合に、向上に応じた基本給・手当等を支給
派遣労働者の勤務評価の結果、同じ職務の内容(Aランク、Bランク、Cランク)であっても、派遣
労働者の能力の向上等の場合、基本給・手当額自体を増額する。
<例3> 職務内容等の向上があった場合に、より高度な業務に係る派遣就業機会を提供
派遣労働者の勤務評価の結果、能力の向上等があり、より高度な業務を行うことができると認められ
た場合、より高度な業務に係る派遣就業機会を提供する。
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