前回までに改正派遣法の概要を概観し、派遣労働者の同一労働同一賃金には「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の二つの方式があることを見てきました。
次に、今回と次回に分けて、二つの方式の中身を順に見ていくことにしますが、参考までに、二つの方式の実務の流れを別図に示しておきます。
派遣先均等・均衡方式の実務の流れ
では、<派遣先均等・均衡方式>からです。
ステップ1:比較対象労働者の待遇情報の提供(派遣先)
派遣先均等・均衡方式は、実際の派遣先の比較対象労働者との比較によって、均等・均衡待遇を確保するというものでした。したがって、まずは派遣先の労働者の情報の入手が前提になるので、派遣先から比較対象労働者の情報の提供が行われることが重要になります。この場合、派遣先には比較対象労働者の待遇に関する情報を提供する義務が課せられ、その情報提供がないときは、派遣元は労働者派遣契約を締結いてはならないこととなっていることにも注意してください。
ステップ2:派遣労働者の待遇の検討・決定(派遣元)
派遣元において、比較対象労働者の待遇情報を基に、派遣労働者の待遇が均等・均衡を確保したものになるよう検討・決定を行います。
ステップ3:派遣料金の交渉
派遣先と派遣元において、派遣労働者の賃金原資となる派遣料金の交渉を行います。
ステップ4:労働者派遣契約の締結
交渉がまとまれば、労働者派遣契約を締結します。契約が締結されると、派遣労働者を派遣することになります。
ステップ5:派遣労働者に対する説明(派遣元)
派遣労働者を雇用し、派遣するにあたっては、待遇に関する情報の明示・説明が求められています。すなわち、雇入れ時には待遇に関する情報の明示・説明が、派遣時には待遇に関する情及び就業条件の明示が必要です。また、春闘等により比較対象労働者の待遇に変更があったときには、変更部分についても情報提供が必要で、必要に応じ上記の派遣契約の変更等も行います。さらに、派遣労働者からの求めがあった場合には、それに応じて派遣労働者に対する比較対象労働者との待遇の相違を説明が必要です。
派遣先均等・均衡方式における待遇の検討・決定
前記ステップ2の「派遣労働者の待遇の検討・決定」については、次の手順で行います。
<第1段階>
派遣先から、比較対象労働者の待遇に関する情報提供を受けます。
この場合、情報提供すべき事項は、次のとおりです。
・比較対象労働者の職務内容、職務内容・配置の変更の範囲並びに雇用形態
・比較対象労働者を選定した理由
・比較対象労働者の待遇のそれぞれの内容
・比較対象労働者の待遇のそれぞれの性質・目的
・比較対象労働者の待遇のそれぞれについて、決定をするにあたって考慮したもの
<第2段階>
派遣労働者が「均等待遇」「均衡待遇」のいずれの対象となるかを確認します。
<第3段階>
個々の待遇の「適用の有無」と「決定基準」を整理し、派遣労働者と比較対象労働者との間での「違い」を確認します。
<第4段階>
個々の待遇ごとに、以下の手順で、均等・均衡を点検します。
(1)均等待遇の対象となる派遣労働者に対して
全ての待遇について決定基準が比較対象労働者と「同一」であるかを確認します。
(2)均衡待遇の対象となる派遣労働者に対して「適用の有無」あるいは「決定基準」に「違い」がある場合には、
(a)当該待遇の「性質・目的」を確認・整理し、
(b)「性質・目的」に適合する考慮要素を①職務内容、②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情の中から特定し、
(c)その考慮要素に基づき、「違い」を適切に説明できるかを検討します。
<第5段階>
先の第4段階の(1)の均等待遇の場合で待遇の決定基準が異なる場合や、(2)の均衡待遇の場合で「違い」が適切に説明できない場合には是正し、派遣労働者の待遇を決定します。
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