2020年4月から、派遣労働者の同一労働同一賃金についての取組が始まっています。
同一労働同一賃金は、労働者派遣事業のこれからを左右する大きな問題です。折しも新型コロナウイルスの感染拡大という環境変化はありますが、この問題は労働者派遣事業の発展に不可欠なものですから、引き続き着実な運用に努めていく必要があります。
改正派遣法とその背景
労働者派遣法(以下「派遣法」といいます。)には、相次ぐ改正が加えられていますが、2018年、「働き方改革」に伴って、大きな改正が行われました。
そこで、まず、「働き方改革」とはどういったものかからみてみます。
現代の日本人は労働に不全感を持っています。
・父親は、長時間労働で、いつも疲れ果てています。
・母親は、子育てや老親介護で、仕事をしたいのに仕事に付けません。
・若者は、卒業後の正社員になれず、将来に不安を抱えています。
他方で、わが国では少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少が進んでいます。生産年齢人口は、1997年に8,700万人だったものが、2016年には7,700万人に、2030年には6,700万人にとなるといわれています。
こうした中で求められるのが、働きたい人がもっと労働に参加するようにすることです。
しかし上記のような労働に対する不全感を生み出すような環境があるとどうでしょう?
女性や高齢者が働こうとしても長時間労働が横行していたのでは働けません。若者が働こうとしても正規と非正規の格差が大きければ働く意欲を失ってしまいます。
こうした「マイナスの循環」を断ち切って、「プラスの循環」にするために、働き方改革が実行に移されました。その大きな課題は、長時間労働の是正とともに、正規と非正規の理由なき待遇差を埋めていくこととされたのです。
改正派遣法の基本的な考え方
この「働き方改革」の流れの中で、派遣法においても、派遣労働者に対する不合理な待遇差を是正し、労働者が納得して働ける仕組みとするため、派遣労働者の同一労働同一賃金に向けた取組が求められることとなりました。派遣元事業主(以下「派遣元」といいます。)は、派遣労働者に対し、派遣先の通常の労働者との不合理な待遇差の解消を目指して、「均等・均衡待遇」を図らなければならなくなったのです。
普通の労働の場面の同一労働同一賃金では、同じ企業の中での正規労働者と非正規労働者の間の待遇差の解消が課題になります(「働き方改革関連法」では、これについてはパートタイム・有期雇用労働法において対策が講じられました)。しかし、労働者派遣の場面では、派遣労働者が派遣された派遣先において、派遣労働者と派遣先に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム労働者)との間の不合理な待遇差を解消することが課題となります。労働者派遣の場合の特有な取組となりますので、派遣法において対策を講じていくこととなります。
しかし、この場合、大きな問題が出てきました。派遣労働者の待遇(例えば賃金水準)の比較対象は派遣先によって変わってくることです。派遣先との均等・均衡を実現しようとすると、同じ派遣労働者について派遣先が変わるごとに賃金水準が変わり、派遣労働者の所得が不安定になってしまいます。また、一般的に大企業の方が中小企業より賃金水準が高いので、派遣労働者は大企業ばかりを希望するようになり、派遣労働者の適切な需給調整と派遣労働者の適切なキャリア形成に困難をきたしてしまうことになります。
こうした状況を踏まえ 、今回の派遣法の改正では、次のいずれかを選択することにより、派遣労働者の同一労働同一賃金を確保することが事業主に求められることとなりました。
【派遣先均等・均衡方式 】 派遣先の通常の労働者との比較による均等・均衡待遇の確保
【労使協定方式 】 一定の要件を満たす労使協定による均等・均衡待遇の確保
この二つの方式によって、派遣労働者の同一労働同一賃金を目指すことになったのです。
そして、改正労働者派遣法は、2020年4月1日から施行されました。
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