厚生労働省は、8月27日、2020年における技能実習実施者に対する労基署の監督指導状況等を公表しました。
監督指導状況、違反率
監督指導は8,124件(昨年9,455件)行われ、5,752件(昨年6,796件)で労働基準関係法令違反が認められました。
監督指導件数は昨年よりやや少なくなっていますが、違反率70.8%は昨年(71.9%)と同様高いものとなっています。
<監督指導の事例>
【事例1】食料品製造業の事業所において、フォークリフトによる労働災害が発生したため、労基署が立入調査を実施したところ、①必要な接触防止措置が講じられておらず、②技能実習生による無資格運転が行われていたので、是正勧告を行った。
【事例2】農業を営む事業場について外国人技能実習機構からの通報により労基署が立入調査を実施したところ、賃金計算において、①一定労働時間分の賃金が計上されず、②実費以上の水道光熱費が控除され、③不適切な社会保険料が控除されていたので、是正勧告を行った。
申告の状況
技能実習生から労基署に申告のあった件数は192件でした。
<申告事例>
【事例】建設業の事業場で働く技能実習生から、不当な賃金控除・残業代の不払いがあるとの申告がなされたため、労基署が調査を実施したところ、①Wi-Fi代、使用者が立替払いをした治療費等賃金控除協定に記載のない費用が賃金から控除され、②法定の割増率に満たない割増賃金しか支払われていなかったので、是正勧告を行った。この結果、技能実習生2名に対して総額約5万円が支払われた。
送検の状況
重大悪質な労働基準関係法令違反が認められたものとして、送検された件数は32件でした。
<送検事例>
【事例】縫製業の事業場に労基署が立入調査を行ったところ、①違法な36協定により時間外労働が行われ、②時間外労働に対して1時間当たり400円の賃金しか支払われず、法定の割増賃金が支払われていなかったので、送検した。
入管機関、技能実習機構との連携
技能実習生の労働条件の確保を図るため、労基署と入管機関・技能実習機構では、相互通報制度を設けています。
2020年度の通報件数は次のとおりです。
(1)労基署が監督指導により関係法令違反を認めた事案:414件
(2)入管機関、技能実習機構が調査し、労働法令違反の疑いを認めた事案:1,381件
また、相互通報制度に基づく通報件数の最近の推移を見ると、上記(1)の労基署からの通報については、2018年は389件→2019年は417件→2020年は414件と、例年400件前後ですが、(2)の入管機関、技能実習機構からの通報は、2018年は43件に過ぎなかったものが、2019年は2,501件、2020年は1,381件と、急増しています。
