「帰化」とは、外国の国籍を喪失し、日本国籍を取得することです。
概要
帰化には3種類
「帰化」について、国籍法は、「日本国民でない者は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる」としています(国籍法4条)。
入管法に基づく在留資格「永住」の取得と比較すると、「永住」は許可取得後も外国人であることに違いはありませんが、「帰化」は日本人になるという点で違いがあります。
帰化には、
・普通帰化
・特別帰化
・大帰化
の3種類があります。
普通帰化の7要件
一般の外国人が対象になる帰化(普通帰化)の要件には、次の7つがあります。
(1)居住要件(国籍法第5条第1項第1号)
帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。
この場合、注意すべき点が2点あります。
1点目は、住所があるだけでなく継続的に住んでいることが必要なことです(この間正当な在留資格を有していることが前提です)。
また、「引き続き5年」の意味ですが、1回の渡航で90日以上、1年の間に半年間以上(150~180日以上)の日本不在期間がある場合には、「引き続き」とは判断してもらえず、不在期間が終わったところから5年の居住が必要になります。
2点目ですが、国籍法に明文では書かれていませんが、5年のうちの3年以上は就労していることが求められていることです。
(例) ○「留学2年、就労3年」の場合
×「留学4年、就労1年」の場合
×「3か月以上商用で日本に不在」の場合
×「渡航(2か月以内)を繰り返し、不在期間が半年以上」
(2)能力要件(国籍法第5条第1項第2号)
年齢が日本国内で成人であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していないと申請できません。ただし、親と同時であれば成人でなくても可能です。
(3)素行要件(国籍法第5条第1項第3号)
素行が善良であることが必要です。
素行が善良であるかどうかは、次により、判断されることとなります。
・納税義務を果たしているか
・年金に加入し、保険料を納めているか
・犯罪、交通違反、法令違反を犯していないか
税金については、住民税等地方税を正しく納税しているかが重要ですが、所得税等の国税もあります。会社を経営している人は、事業税、消費税、法人税等もきちんと納めている必要があります。配偶者がいる場合には、本人だけでなく、配偶者も正しく納税していることが求められます。
年金の加入と保険料の納付も重要な審査項目になっています。会社員として厚生年金に入っている人やその方に扶養されている人は会社が保険料を支払ってくれているので問題が少ないのですが、個人事業主等の人は注意が必要です。自分で国民年金に加入し、最低でも1年保険料を納入することが必要です。会社員等に扶養されていた方(主婦等)でも、自身の年収が130万円を超えると扶養を外れ、自分で年金に加入することになります。会社経営者の場合は、会社を通じて厚生年金に加入していないといけません。
犯罪歴に関しては、交通違反も審査され、運転記録証明書の提出が求められます。目安としては過去5年間で軽微な違反が5回以内であれば問題はありませんが、重大な交通違反を犯したり、運転免許の取消・停止等の処分を受けていると許可されるのが難しくなります。
(例) ×「納税義務を果たしていない」
×「年金に加入していない」
×「交通違反を繰り返している」
×「犯罪を犯している」
(4)生計要件(国籍法第5条第1項第4号)
生活に困るようなことがなく,日本で安定した生活をして、暮らしていけることが必要です。
この要件は生計を一つにする親族単位で判断されます。したがって、申請者が、自分で働いて安定した収入のある人であれば問題ありません。では、専業主婦のように自分で働いていない人が申請者である場合には申請できないかというとそうではなく、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の収入・資産によって安定した生活を送ることができれば,この要件を満たすことができます。なお、負債がある場合ですが、住宅ローン、車のローン等で返済可能な範囲内であれば問題ありません。
(5)重国籍防止要件(国籍法第5条第1項第5号)
帰化しようとする人は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を離脱・喪失することが必要です。国によっては、国が離脱等を認めていない国、兵役が済まないと離脱等できない国もありますので、その場合には法務局に相談します。例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この要件を備えていなくても帰化が許可される場合があります(国籍法第5条第2項)。
(6)憲法遵守要件(国籍法第5条第1項第6号)
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような人、あるいはそのような団体を結成したり,加入しているような人は帰化が許可されません。
(7)日本語能力要件
日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を持っていることが必要です。
法務局の担当官との面談を通じて日本語の能力が判定され、必要に応じて日本語テスト(読み書きのテスト)が実施されます。レベルは小学校の低学年(3~4年生)程度または日本語能力試験ではN4程度といわれますが、テストの結果によって許可されないことがありますので、注意が必要です。

帰化申請のその他のパターン
次に、特別帰化、大帰化について見ていきます。
特別帰化(簡易帰化)
特別帰化は、日本と特別な関係を有する外国人(たとえば日本で生まれた人、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった人等)に対するものです。
特別帰化においては、次のⅠ~Ⅲの3条件(a~iの9ケース)に該当する場合には、普通帰化の7要件の全てを満たしていなくても、帰化が許可される可能性があります。
Ⅰ 国籍法第6条の条件
次のa~cのいずれかに該当する人は、居住要件が緩和されます
a.日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する人
⇒帰化した後に生まれた子どもの場合は、本来5年以上日本に住所または居所を有しなければならないのですが、これが3年以上に緩和されます。
b.日本で生まれた者で3年以上日本に住所もしくは居所を有し、またはその父もしくは母(養父母を除く)が日本で生まれた人
⇒このケースとしては、前段は日本で出生した外国人(国籍問わず)が該当し、後段は特別永住者の方が該当することになります。
c.引き続き10年以上日本に居所を有する人
⇒長期に日本にいる人、例えば、特別永住者、永住者および留学から日本に引き続き在留している人などがこのケースに該当します。また、普通帰化の場合は、5年以上の日本在留のうち3年間以上の就労が必要という条件が付加されていましたが、引き続き日本に10年以上在留している場合は、この条件についても1年以上の就労で住所要件を満たすことと緩和されています。
Ⅱ 国籍法第7条の条件
次のd、eのいずれかに該当する人(日本国民の配偶者)は、居住要件および能力要件が緩和されます。
d.日本国民の配偶者たる外国人で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する人
⇒日本人の配偶者である方については、日本への定着度が高いということから、要件が緩和されます。この条件の解釈で注意が必要なのは、必ずしも日本人配偶者との婚姻期間が3年以上必要とはされていないことです。例えば、日本に留学していた等により、日本に3年以上住んでいた方が日本人と結婚したケースでは、日本人と結婚した時点でこの条件に該当こととなります。
e.日本国民の配偶者で婚姻から3年以上経過し、かつ、1年以上日本に住所を有する者
⇒日本人と結婚をして3年以上の方が、海外で2年以上夫婦で暮らし、日本でも1年以上日本人配偶者と一緒に暮らした方のようなケースがこれに該当することになります。
Ⅲ 国籍法第8条の条件
次のf~iのいずれかに該当する人(日本国民の子)は、居住要件、能力要件および生計要件が緩和されます。
f.日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する人
⇒日本人の実子で日本国籍を選択しなかった人が帰化申請をする場合、父または母が先に帰化をしてその後子が帰化申請をする場合などのケースがこれに該当することとなります。
g.日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であった人
⇒未成年の時に親の再婚により連れ子として来日し、その日本人(継父母)と養子縁組をした人が該当します。ただし、縁組の時本国の法律で未成年でなければいけませんので、成年になって縁組しても対象外です。
h.日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有する人
⇒外国籍に帰化した日本人(元は日本人だった者)で再度日本国籍を取得したい人、親が外国籍にしてしまったが本人は日本国籍に戻すことを希望する人などのケースがこれに該当こととなります。
i.日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有する人
⇒オーバースティの外国人が出生届を出さなかった場合など、日本で何らかの理由により無国籍の状態になっている人が、出生から引き続き3年以上日本で住所を有しているケースがこの要件に該当こととなります。

大帰化
大帰化は、国籍法の「日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる」(法9条)の規定によるものです。
大帰化は、このように日本に多大な貢献がある外国人に対して設けられた制度ですが、今までに適用された例はありません。

帰化許可申請に必要となる手続と書類
帰化申請に必要な書類
帰化に必要な書類は、次のとおりです。
1 帰化許可申請書(申請者の写真5cm×5㎝が必要となります。)
2 親族の概要を記載した書類
3 帰化の動機書(本人の自筆)
4 本人の履歴書(特別永住者以外は、最終学歴)
5 宣誓書(15歳未満は不要)
6 住民票の写し
7 国籍を証明する書類
8 本国の戸籍謄本など身分関係を証明する書類
9 家族の各種届出記載事項証明書(出生・死亡・婚姻)
10 生計の概要を記載した書類
11 事業の概要を記載した書類
12 納税を証明する書類
13 年金納付の証明書
14 運転記録証明書
15 収入を証明する書類
16 自宅・勤務先の地図
17 パスポート、在留カード写し
18 家族と撮った写真
※なお、申請者の国籍や身分関係、職業などによって必要な書類が異なってきます。
帰化申請手続きの一連の流れ
帰化の申請から許可までの流れは、次のとおりです。
①法務局との事前打ち合わせ
②申請書類の作成・取り寄せ
③申請者本人が法務局に申請
④書類の点検・受付
⑤審査
⑥法務省への書類の送付・審査
⑦法務大臣の決裁
⑧許可または不許可
審査に要する期間は、1~2年かかります。
帰化申請は、在留資格の申請とは異なり、原則的に代理申請や申請代行ができませんが、上記の一連の流れの中で、①~③の部分は行政書士が支援できます。
許可されると官報に掲載され、掲載された時から日本国籍を取得します。不許可の場合は、本人宛に通知がなされます。
家族全員でなくても申請可
外国人が、他の外国人と結婚したり、子供ができたりして家族を持つようになった場合、家族全員一緒でなければ帰化申請できないかというとそういういうわけではりません。本人だけ、あるいは本人と子供だけで申請することも可能です。
帰化後の名前について
帰化後の氏名については、帰化許可申請書に記載する欄があり、帰化申請を契機に自身で自由に定めた名前を名乗ることも可能ですし、帰化申請する前の名前をそのまま名乗ることもできます。
ただし、日本の法律上名前に使用できる文字が決まっていて、漢字(常用漢字と戸籍法施行規則別表2で認められた人名用漢字)、片仮名、平仮名に限られます。
また、日本人と結婚している人が帰化申請する場合、夫婦どちらかの氏に統一する必要があることにも注意が必要です。

