派遣労働者の同一労働同一賃金(2) 派遣先均等・均衡方式とは

同一労働同一賃金

派遣労働者の同一労働同一賃金を実現するための、派遣法に「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」が導入されましたが、この2つの方法には大きな違いがあります。
簡単に言うと、前者は派遣先の賃金水準等に合わせていくものです。これに対して、後者は、一般労働者の水準(厚生労働省から、毎年、統計に基づいて職種・就業地域に応じた賃金水準が公表されます。)に合わせてふさわしいものにしていくものです。

では、前者の「派遣先均等・均衡方式」から見ていきます。

派遣先均等・均衡方式の考え方

「派遣先均等・均衡方式」は、派遣労働者と派遣先の通常の労働者について、①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲、③その他の事情を比較して、同一の場合は同じに扱い(均等待遇)、差がある場合には不合理なものではないものにする(均衡待遇)というものです(法30条の3)。

この方式は、文字通り、比較すべきものと比較して、均等・均衡を図るという原則的な方法に立脚しています。普通の労働の場面の同一労働同一賃金では、パートタイム・有期雇用労働法において、自社内の正社員と非正規労働者について両者を比較した上で均等・均衡を図ることとしていますが、これと同じ考え方です。したがって、この方式では、派遣労働者については、派遣先の正社員(フルタイム・無期労働者)と派遣労働者の両者を比較した上で、「同一労働同一賃金ガイドライン」も参考にしながら、均等・均衡待遇を図っていくことになります。

均等と均衡の例

例を挙げましょう。Aさんは、甲デパートの乙店に、販売員として派遣されていたとします。派遣先乙店の販売部門に、総合職のBさんがいる場合、AさんとBさんを比較してみます。Bさんは仕事は販売だけではなく、営業企画、広報宣伝も担当するなど業務範囲が広く、かつ、人事異動で全国転勤もしなければならないとします。すると、AさんとBさんには、①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲に一定の違いがありますので、一定の待遇差があっても、待遇の性質・目的に照らし均衡がとれていれば不合理なものではないとことになります。

では、派遣先乙店の販売部門に店舗採用の正社員Cさんがいるので、Cさんと比較してみます。Cさんは、販売の仕事だけを担当し、人事異動で他の店舗に行くこともないとします。すると、AさんとCさんについて、①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲に違いがないということになりますので、この場合には同一の待遇、すなわち均等待遇にしなければなりません。

このように派遣先均等・均衡方式は、比較すべきものと比較をすることにしていますので、わかりやすく、納得感を得やすい方法だといえますが、実施のためには、一つ不可欠なことがあります。それは、比較の対象になる「派遣先の労働者」について、派遣先から賃金その他の待遇情報を提供してもらわなければなりません。どの労働者の待遇情報が必要かといえば、比較対象となる最も近い労働者の待遇情報を提供してもらうことになります。

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